空転

 青年老い易く、学成り難し は中学生の漢文の授業の孔子の一文で気に入ったものだった。また、何の才能もない小学生に大器晩生と先生から言われた言葉だった。これを信じ日々を送り、今は75才の後期高齢者となっており、一瞬の風景に立ち止まる余裕もなく、呆然としている内に日々は飛ぶように過ぎていく。奈落の底で、過ぎ去った日々を後悔し、未来に満ちた若者を羨望するだけなのだ。偉大なる孔子の教えは、努力する者のみに相応しいのかと。

 地球の自転は昼夜を作り、四方の宇宙の一巡りの風景を太陽とともに見せてくれる。私一人ではなく、人類全体のながめであるのだ。人類の一人一人の1日の行動が地球の1点から地域、国、世界へと広がって、地表を自然とともに作り替えているのだ。何百万年の人類への進化によって、人類は増殖し、その頭脳によって、地表を作り替えてきたのだ。そんな歴史、宇宙の一瞬に、地球は反転することなく、自転してきたのであるから、一人で立ち止まり、呆然として空転しているのだと馬鹿げたことを考える暇はない。