文化都市松本

はじめに
 松本は近代登山とともに、観光都市として発展していた。しかし、自動車交通の進展は上高地の混雑をもたらすと共に、松本の登山客を激減させた。さらに、松本城、浅間温泉などの観光客を減少させ、中心市街は空洞化によって一層閑散となった。空洞化は市街の利用客をも減少させ、商店街は空き家となるところも見られ、そこに、駐車場ができ、空洞化した景観が露になった。
 松本城文化財としての整備が行われ、市街と空洞化した市街が再開発されるようになって、松本城は住民の憩う公園へ、市街には人々が集まってきた。観光都市から住民生活都市への転換が行われたといえる。最近では国内外の観光客も増大して、市街から松本城は多くの人々が行き来するようになった。
天守閣遠謀


公共施設 図書館と市役所
図書館も新しくなったが、市役所の建物は、耐震構造へ改良されただけで、古い庁舎がそのまま使われている、市役所の職員の市民への応対も親切で手際が良い。図書館には多くの蔵書があり、日曜日も開かれて、人々で賑わっている。古い市庁舎と新しく大きな図書館は、松本が文化を重視していることの現れである。小学校などの教育施設も充実しており、開智小学校がかっての洋館風の古い校舎を文化財として保存し、新しい校舎がその形態を近代的な形態に代えて模倣してデザインの継承が図られている。それぞれの地区には公民館があり、社会教育や地区の文化活動の拠点となっている。
図書館
市役所

近代都市としての文化
 市街と公共施設が整備された環境に見られる市民の姿から、松本は文化が高いとは言い切れない。松本には城下町の歴史があり、近代都市へと連続的に発展して現在の市街が形成されている点で、歴史的な文化があるといえる。しかし、その文化遺産は目に付くほどに残ってはいない。痕跡を探せば、井戸が各所にあり、現在でも市民が利用している。勿論、松本城天守閣もある。しかし、井戸も町並みに埋もれるようにあって、井戸端の賑わいを形成しているわけでなく、松本城も歴史の象徴であり、景観のシンボルであって、生活の中心ではない。一方で、近代都市の生活の中心、シンボルを見出すこともできない。
 松本市街の中心はかって六九街であったそうである。しかし、駅前にビル群に中心に移っていきました。

住宅地と商店街