高齢林

はじめに
 森林も人間の寿命のように年をとる。現在の年齢は過去に遡って誕生した年からの始まりで、歴史的な年代で時代を示すことになる。林齢によって幼齢林、若齢林、壮齢林、高齢林、老齢林へと年を重ねる。人口の年齢構成と同じく、国や地方で累積して示すと林齢構成を示すことが出来る。植林や伐採が時代的な事業とともになされた結果、森林の年齢構成は人口以上に不均衡である。
 年齢とともに林木が成長し、樹高と幹が大きくなるが、幹は樹冠の広がりが無ければ、1年間の成長から生み出される年輪の肥大成長が少なくなり、細い幹のまま、樹高だけが伸びていく。競争関係で被圧されると立ち枯れることになる。また、樹高の成長も樹種による限界がある。しかし、見かけ上の大きさから林齢が判断されると、幹が太く、樹高の高い林木で構成された森林が高齢林ということになる。
 しかも、樹木の成長も土壌条件(地位)によって差異が生じるのるので、見かけの森林の大きさから林齢を示すことは全く、不正確である。しかし、木材を利用する点からは見かけの大きさでよいのかもしれない。年限が違ってもある大きさに達した状態で区別すれば、高齢林といっても林齢は異なり、あるいは、高齢林を一定の大きさの基準で設定すれば、高齢林に到達しないで寿命を迎える森林もあるといえる。
 戦後、植林された森林の多くが、壮齢林の段階となり、今後、高齢林への移行を考えなければならない段階となっているとともに、林齢構成を均等化しなくては、森林の持続が再び問題となる。法正状態に森林を移行することも課題となる。放置林によって森林の成長が遅れ、あるいは成林が困難な状態も問題であろう。