河川敷地ニセアカシア林の森林管理

はじめに
 ニセアカシアはなぜか嫌われている。たしかに若い木はとげがあり、また、除去しようとして切っても、萌芽して絶やすことは難しい。しかし、花は美しく、匂いも芳しい。蜂の蜜源にも貴重といわれる。相当の巨木となり、木材として利用できる。最近、床材として売り出している製材業者と出会ったので、話を聞いてみたい。
 NPOの事業として木材利用による森林育成と風致育成に取り組み、河川堤防のニセアカシア林のマキ利用のための伐採を行おうとしている。県の建設事務所に申請して使用許可を得ることが出来た。そこで、今日、現地に出かけたのだが、2年前の状態が大きく変化しているのに驚いた。とげの多い若木ばかりだったニセアカシア林は林冠閉鎖とともに、急速に自然間引きが進行して、イバラの林床植生が衰退して、木陰のある歩き易い林間に変化していた。

河川敷地のニセアカシア
 河川堤防の法面にニセアカシア林が成立していくことは、河川を管理する県の建設事務所には認められないことである。森林が大きくなってくるたびに、皆伐されている場所を各所に見かける。皆伐後、萌芽更新によってニセアカシア林が再生し、そのいたちごっことなる。ニセアカシアの幼齢林はやぶ状態となり、そのとげは痛く、雑草やノバラなどと混生し、藪状態となる。この状態での維持は毎年伐採を繰り返すことになり、労力は過大となる。そこで、放置されて若齢林から自然間引きが進行した状態が現在の姿である。これを放置すれば、ニセアカシアはさらに疎となり、大木の林立する森林となるだろう。
 しかし、そこまで放置することは河川堤防としては許されない。20年ぐらいの周期で皆伐して、ニセアカシアの藪を作ることになる。ニセアカシアの木陰は失われることになる。

マキ材採取による間伐
 現状のニセアカシア林は最大で胸高直径10cm程度で以下に5cm程度が続き、林床に稚樹が散在している状態である。5cm以上の高木層によって林冠が閉鎖し、過密な状態となってきている。
 直径10cm程度の木はマキ材に適している。そこで、マキ材に適する木だけを伐採すれば、5cm程度の木が残り、森林が維持される。2,3年後には疎林の10cm程度の木となるだろう。これを再び、選木して伐採すれば、さらに疎林ができることになる。2,3年後にに2回の間伐で疎林とすることができる。2区画に分けて行えば、4年間マキの採取ができることになる。樹高の8mまでマキとして利用すれば、4束のマキとなり、haあたり700本程度の森林から30%の間伐で800束のマキが得られる勘定で、森林はhaあたり300本となる。
 道路沿いには緑陰となる木を残す配慮が必要となり、沿道林縁部の雑草の抑制にも役立つだろう。 
 

河川敷地の森林管理
 若齢林までは河川敷地の森林が可能?あるいは止む無く持続しているが、高齢林にすることは許されないだろう。と言って皆伐すれば、雑草繁茂の温床となる。適度に洪水が起こり、河川敷の森林を破壊して洗い流せば、自然に雑草も樹木も周期的に管理できる。しかし、どこまでの水位で水が来るかは散漫であり、数十年に1回の洪水にも備えなくてはならない河川敷には、高齢林の持続は困難である。堤防上では堤防が根で破壊されなければ、ある程度の森林が許されるか、河川管理者に聞いてみる必要がある。それによって、部分的伐採で若齢林を維持する択伐による施業が河川敷地の森林管理に有効となる可能性がある。