ザリッシュ森林美学への思い

ザリッシュ森林美学への思い

 クック英訳「ザーリッシュ森林美学」の発刊が5月31日に予定されている。5月21日には、「森林美学の現代的意義」の造園学会ミニフォーラムが予定され、第4回目となる。しかし、英訳「ザーリッシュ森林美学」の6回もの校正を行っていたのに、さらなる7回目の校正に追われている。「ザーリッシュ森林美学」には多くの意味が籠められており、それを理解することが不十分であったためである。この校正ができることは、それだけ理解ができるようになったということなので、楽しみでもある。しかし、まだ、ザリッシュの理解は不十分な点が残っていることが示されたということであるのだろう。
 ザリッシュ森林美学は実際の林業経営と深い教養による森林美育成からの考察による実践によって生み出されている。「ザーリッシュ森林美学」の冒頭の銘にゲーテの一文が掲げられている。凡庸な頭には工芸に過ぎないが、優れた頭には芸術となるという意味である。これは、実際に森林の育成に関わる人に芸術的追求を行うことを勧めているのである。その結果、森林を楽しむ人々が素晴らしい森林から多義の美的感銘が得られる。そのような森林が必要であり、より多くの人々を森林へ誘っているのである。

5月28日
 昨日出版社の社長が事務所に来られた。10時から午後3時まで昼食を挟んで森林美学の編集を振り返り、出版について再考することが話合われた。7年間、7校に至る校正の段階で、監修者のK先生の了解もなく、校正の責任をとり、監訳者の一人として表紙に名を連ねていたことが初めて明らかになったことが、問題となってきたことである。振り返れば、全く、不思議な話であるが、監修者の校正、訳者全員による校正を行い、これを最終校正して、出版の責任体制を明確にする必要があった。