原生林の回復 南アルプス世界遺産登録

 南アルプス世界遺産に登録する運動が、伊那市を中心に展開している。私はこれまで、この運動に無関心であったが、世界遺産とするには多くの問題があった。しかし、その問題を克服し、国立公園の質を高める上から問題の克服に向けて意義があるのではないかと考えるようになった。

 南アルプス世界遺産に登録する運動が、伊那市を中心に展開している。私はこれまで、この運動に無関心であったが、世界遺産とするには多くの問題があった。しかし、その問題を克服し、国立公園の質を高める上から問題の克服に向けて意義があるのではないかと考えるようになった。
日本において原生林、天然林を世界遺産登録を行ったのは、知床と白神山地であるが、南アルプスはこれらの世界遺産に及敵する価値があるのかを検討する必要がある。この検討の前段として、問題点を指摘し、南アルプスの現状を概観してみよう。
 南アルプスは3000m以上の標高を持つ高山が10座にも及ぶ山脈であり、天竜川流域、富士川流域、大井川流域から遠望できる。植生としては山地帯から亜高山帯、高山帯に及ぶ、垂直分布を形成している。こうした高山帯までを含む高山が東から富士山、南アルプス中央アルプス、御岳山と並列している。亜高山帯以上の植生はそれぞれの渓谷の山地帯によって分断されており、氷河時代に連続した植生が隔離されたと考えられている。高山は南アルプスの北に八ヶ岳があり、御岳の北に乗鞍岳北アルプスと連なっている。南アルプスはこうした山岳地域の中央にあるといえる。
 中央の山岳地域を代表し、垂直分布の植生帯を有している点は世界遺産に貢献する要因といえるだろう。しかし、保存された森林の面積は少なく、山頂、尾根の森林限界から高山部の南北に細長い区域とまとまった区域は主に戸台川流域である。

世界遺産851箇所 内日本14箇所:石見銀山、知床、白神山地、日光、白川郷紀伊山地零場、古都京都、古都奈良、法隆寺、姫路城、厳島神社、広島原爆記念碑、屋久島、琉球大国グスク