場所と場面の構造 生活空間の構造

 生活を個人の時間的側面から見出し、様々な行動の集積した生活時間の構造が明らかになる。また、生活を規定する消費の面から、家計としての構造をとらえることができる。そして、その消費の結果として個人の所有物、利用する組織の施設の配置を見出す。そして、実際の生活の個々の行動には、行動空間と空間の移動を伴っている。
 個人生活の水準が問題された時代には、家計における収入に対する消費、消費の構成が生活を支える点から取り上げられた。一定の所得水準が達成されてくると、労働と余暇の関係が問題となり、生活時間の構成が取り上げられるようになった。社会階層の格差(所得)による居住環境が問題となると、住宅空間の利用状態が問題となり、居住空間の構成が取り上げられた。社会問題は、底辺の人間的生活の確保の点から生じてきたが、社会問題とならない、社会的事象とすれば、様々な階層の人々の生活の享受に伴う生活スタイル、生活空間として見出される。
 西山は居住空間を計画する建築の立場から、居住空間の構成と住宅の階層構造を明らかにしている。三村は、地域計画の面からレクリエーション空間の構造を明らかにしようとした。これらの追究は、住宅設計、地区計画、都市計画、地域計画に反映して、役立てられたと考えられる。しかし、空間計画の実現される区域は、地域の中では一部である。地域空間には様々な空間の錯綜した状態が見られ、個々の人々は、錯綜した空間を選択、適応して、それぞれの生活構造を確保しているといえる。