建築計画学入門ー生活空間の仮説構造

はじめに
 教科書とされる建築工学ライブラリーの一冊として「建築計画学入門」が出版された。著者の一人から何年も前から取り組まれていることをお聞きしていたので、大変、出版を楽しみにしていた。先生から初版の本を贈っていただき、すぐに、ページを開いてみた。副題が建築空間と人間の科学とあり、森林空間と人間の科学へと展開の可能性も予感できる。大変な楽しみをいただき、先生に感謝します。
 建築工学ライブラリーの構成は、ヒューマンスケール、行動空間、都市空間が対象とされている。建築空間は人間の行動の環境を形成するものであるが、行動自体が個々人の生活目的によって統合し、生活は社会構造によって条件づけられている点で、現実的な生活、居住空間は、建築空間には含まれないのかもしれない。とすれば、建築空間自体が生活そのものではなく、想定される生活、仮説の生活によって計画されるものといえるのではないだろうか。そこで、生活空間の仮説構造の観点から、建築空間及び建築工学を考えてみたい。これは、日常的に見かける様々な住宅から、そこに住んでいる人、その人の生活を想像、空想するのと共通した観点と言えるのだろう。