露岩と植生被覆

はじめに
地表は岩石を骨格として、植生で被覆され、植生は岩石の風化した土砂に植生が作り出す有機質の混合した土壌に根を伸ばして生育する。岩石が直接むき出した露岩はそれ故に見ることは少ない。その露岩の断面は岩と土壌と植生の断面構造である。露岩の風化状態、土壌の厚さ、植生の繁茂が重層として示されている。さて、皆様はどこに注目するだろうか。地質、岩石か、土壌か、植生か?植生は森林の広がりの一部であるから、森林全体を見るだろう。土壌はその森林の一部であるのに、普段、見ることができず、森林の根こそぎの破壊の跡に見出すことができる。岩石は地殻の表面であるが、森林の被覆で隠され、その森林と植生がし難い高山などの岩石地、また、断層の急峻な崖、河川の岸の侵食地に見出すだろう。
 林道の建設で生じた切土斜面の露岩は、自然の地形に逆らった破壊の跡である。林道が地形に沿って、等高線を蛇行すれば、林道幅で切った斜面に切り盛りした地形の断面ができる。地形が急峻であるほど切り盛りは大きな断面となる。その切り土面に大きな地層の断面が現れてくる。蛇行による林道の距離を短縮するためにより、直線に近づけようとすると、地形の破壊が大きくなる。凹部を土盛りし、凸部を切土することになるが、凹部は谷、凸部は尾根の地形に該当する。そこで、露岩は凸部の尾根の切土に多く生じることになる。人工的破壊で生み出された露岩もそれ自体は自然である。風化した土礫が下方に堆積し、そこに植生が回復して、やがて露岩を覆い隠すだろう。