散歩のシークエンス・場面構成

はじめに
 散歩するにつれて、眺めは変化する。シークエンスは歩く場所によって区切られ、場面の転換が起こる。30分の散歩のシークエンスでどれだけの場面転換が生じたのか、数えると、15回、新たな場面に遭遇している。平均、2分間の場面である。映画の映像は、注目する点で持続するが、それが、10秒とすれば、2分の場面のなかに、12の映像でシークエンスが校正されることになる。30分では180の映像である。
 では、映像を場面に構成し、場面の転換によって、散歩の体験を再構成したらどうだろうか。行動ー知覚ー環境との関係の一単位と考えれば、生活構造全体の行動から、生活体験の映像を作り出すことが出来るかもしれない。ある場所を定点を定めて、ビデオで連続して撮影している人がいる。その場所には様々な人や動物の出現や変化が生じる。場所と個々の人の生活との関係をそこから見出すことが出来るだろうか。

住宅地の場面構成の単位
 住宅地の単位は個々の住宅である。街路に面するのは、境界を構成する垣根や塀などで、門から玄関に至る庭と建物の一部が見える。歩行者を中心に両側の住宅と前方に連なる住宅の群、を見出すことによって眺めが構成される。個々の住宅から、居住者の生活ぶりが醸し出されている。