森林の開発と保全の戦後の過程

はじめに
 森林資源を、森林面積と森林蓄積によって見積もるとすれば、その増減は、開発による森林面積の減少、土地利用の衰退による森林化での森林面積の増加、林地の放置と育成による森林成長と森林蓄積の増加から考えられるであろう。開発による森林破壊は、戦後、鉱物資源、森林資源、開墾による農地拡大、観光施設開発、都市近郊の土地利用拡大のための土地造成によるものである。一方、保全は自然公園の設定による規制があり、規制をめぐる開発と自然保護の対立として見出された。それ以外は、開発を留めるものは、経済活動の停滞や転換以外には、見当たらない。しかし、開発は土地所有の転換を必要とする点で、土地所有者の動向が、地価との関係で開発に影響を与えることが見られた。
 開発の動向が、経済的要因に支配され、森林資源蓄積の動向が、開発によって左右されている考えれば、開発と森林保全の過程は、戦後経済と産業の変遷と一致して考えられるものである。経済の動向による、経済の動向を左右するものとして、国土計画による公共投資が関係したことがあるが、現在は、その公共投資のつけによる国債の負債が、政策と経済の足かせとなっている。こうした、経済と国土計画の過程を時代区分して変遷の概略を見ていくことができる。