枝垂れヒノキ

はじめに
 近隣の霊園に変わったヒノキがある。数本のヒノキの葉が枝垂れている。広葉樹では枝垂桜や枝垂れ楓、枝垂れ栗などがあるが、針葉樹で枝垂れた葉は見かけることがない。モミなどの針葉樹の枝が、特に円錐形の樹冠を構成して、下降してついているので、枝垂れを意識しないのでいるのであろうか。
枝垂れヒノキ
枝垂れ桜
 枝垂れは突然変異によるものであろうが、それが樹木にとって生き残る上で、有利なのであろうか。木々が競争しあう林内で、上に伸びない、垂れ下がる枝は、不利であり、競争から脱落するのではないだろうか。開放地の孤立木であれば、枝葉によって陽光を受け、枯れ上がった枝を上の枝が補って、樹冠全体が陽光を受けるのに、有効に働くかもしれない。
 しかし、枝垂れは、自然的に生き残る以上に、人間によって意図的に残され、育てられる面が大きいことを、柳田國男民俗学の面から示唆している。(信州随筆)何故、意図的に残したか、天の神の降臨、魂の昇天のイメージに重なるからだというのである。枝垂れヒノキも枝垂桜と同様に、霊園などに植栽されたものなのであろうか?