間伐における樹木の成長の促進と抑制

はじめに
 林木の成長とともに森林は高密となり、林木間の競争が激化してくる。競争によって優勢木と劣勢木が明確となり、劣勢木は成長が優勢木によって抑制され、衰退する。優勢、劣勢は樹高と樹冠の大きさの差による受光量の差であり、この差が成長量の差となって、優勢と劣勢の差が拡大していくことが考えられる。
 人工林は等間隔で植栽され、植林当初から林冠の閉鎖に至るまで競争による優劣差が生じないと考えられる。林冠の閉鎖で成長が抑制され始めると、除伐による均質な密度調節を行い、残された林木の均等な成長促進をはかる。こうした密度調節を繰り返してきたのが、人工林の量的間伐といえる。間伐のたびに、劣勢木が除去され、優劣差が生じなくされる。こうした間伐は形状の揃った林木の収穫に適している。しかし、途中で間伐を放棄すると、揃った林木が過密となると、共倒れ型となり、全体に衰退することになるだろう。
 寺崎式の質的間伐では、優劣差の生じた林木を等級に分けるが、森林構造における階層構造からの判別も加えられる。しかし、共倒れ型の林木の等級区分は困難であり、競争の生じていない幼齢林や若齢林での判別も困難である。優劣の顕在化、森林の階層構造の出現をまって、林木の等級区分が可能となってくる。