現在の森林衰退

はじめに
 森林の衰退は、森林破壊による場合と森林が成長から衰退に転換する場合がある。森林破壊は人為的な開発による場合と風水害や土砂崩壊による場合がある。森林の衰退への転換は病虫害による場合と森林更新による場合とがある。大きな自然災害による森林破壊は毎年各地に生じ、治山などの対策が講じられて、復旧がなされる。人的な破壊は、施設などの開発行為や地下資源の採取によるもので、山地の開発によって生じてきた。これには経済低迷による開発の低調が作用するか、自然保護運動による開発防止かが破壊を止めてきた。
 低成長下で公共事業も少なくなり、山地開発が少なくなるのつれて森林破壊が防止され、森林は保護されているのであるが、森林の衰退が目に付くのは、森林の成長の転換による森林衰退であるといえるのではないだろうか。森林は保護されているのはなく、放置されて維持されており、病虫害も林相転換の一端であり、自然の推移とも受け取られる。しかし、人為的な利用管理で持続してきた人工林や薪炭林にとっては、放置による森林衰退が進行している。人為的な利用管理の停滞は林業の産業的な転換と低迷からもたらされている。森林衰退は自然的破壊を加速させ、衰退に留まらない影響を生じさせる。

ニセアカシアの倒木
 松本周辺の斜面樹林、河川の河原にはニセアカシア林が多く見られる。斜面樹林には50年生以上のニセアカシアの大木が見られ、
マツ枯れ病