白馬村の植生の豊かさ

 白馬村のスキー場開発について40年前に調査報告を出したことがある。当時から白馬村のスキー民宿は著名であったが、ゲレンデ造成とリフト設置が進み、山地の開発が行われ、民宿の増加も著しい時期であった。しかし、外部資本の進出を阻止して、集落を単位とする民宿の共同組織を中心に置く開発が中心となっていた。
 戦後の経済復興から成長の過程で、農村の自給体制の衰退と人口流出が生じたが。白馬村では農村の持続によって自給体制の維持と人口流出の緩和が実現した、白馬村には、観光地化と同時に、古い農村景観が残され、昔からの植生の豊かさをうかがわせる。
 農家と農地の観光施設化、林地のゲレンデ造成は、古い農村景観を変化させている要因であるが、一方で民宿経営のための農地の持続、スキー場による林地の利用と管理によって森林利用衰退による森林放置と草原の衰退が抑制されている。また、何より住民の存続が生活文化としての自給、食料生産、山野の資源利用、自然環境の保全と持続がなされていることが、農村環境を価値あるものとして持続し、利用していることである。