農園風景 農耕放棄地の開墾

 農耕放棄地の開墾は,森林放棄地の整理につながっている。農耕放棄地の植生遷移はやがては,森林化に到達するからである。農耕放棄地はすぐさま雑草畑となり,薮となり,蔓植物が繁茂し,10年近くなると,松本近郊でhニワウルシ,ニセアカシア,クワなどの樹林へと移行する。クルミケヤキ,エノキ,コナラ,クヌギなどの自然林への遷移がさらに,数十年で生じてくるだろう。

 森林の整理は自然林への移行を促進し,人手を要さないで維持,利用できる森林の維持を目指すことにしている。農耕地の開墾は,遷移で言えば,退行させて,また,ひいては裸地化させて耕作を行う。果樹などの樹園地,多年生草本の花卉類,ハーブ類,の栽培と組み合わせた農地の再生を目指すことになる。1年生の草本作物は1年間の循環,いや地を避けた数年間の循環が計画されなくてはならない。この作付け循環計画で1年間の生活必要量と組み合わせた計画のもとに畑の維持を考える。

 今年になって取り組んだ放棄地の開墾は,ほとんど無計画といえるが,来年に向けて,計画的な作業に再編する必要が有る。種子,苗の購入,育成に追われて,畑地の開墾,周辺樹林の整理に今年は追われてしまったと反省する。しかし,日々,収穫の喜びがあり,食膳の豊かさは半端ではない。昨日は,サツマイモとキャベツ,大根の初収穫があった。キャベツを刻んだお好み焼きは夕食を美味の満足をあたえてくれる。サツマイモと大根は友人からの供給である。トマトはもう収穫が無理となってきたが,インゲンとズッキーニはまだ,収穫できそうである。秋植えの野菜でキャベツの初収穫だった。シュンキク,野沢菜,など播種のタイミングが遅れて,降雨の機会に恵まれず,今になって,小さな芽が出てきた。

 耕作放棄の畑地の中に,残存したクルミ,ウメ,リンゴ,柿などの果樹類の育成も手がけている。イチジクはほう芽を整理しただけで,沢山の収穫があり,所有者に恩返しができ,お裾分けをいただいた。隣接した土地の耕作者から,ナスやその他,余り物をいただいた。

 この放棄地はあまりにも広大である。おそらく,1軒の農家が経営する土地は数アールに及んで,数坪の家庭菜園のスケールとは大違いだろう。しかし,余剰豊かな農園の再生を夢見て,開墾に取り組んでいる。来年に向けて,計画の算段を考えなくてはならない。しかし,収穫以上の楽しみは理想の農園風景を作り出し,放棄地再生のモデルを生み出すことにある。自分はその夢の一端を担うに過ぎない者である。