自然風景と災害

 洪水は平野が水に浸かる状態となるが平野の自然風景の一端とも言える。その平野に人々が住み。水田などに利用しているとなると,自然災害となる。

 河川に堤防を作り,河原や流路を堤防内に閉じ込めてしまえば,水に浸かる部分に人の住める部分を広げることができる。水の流量は河川流路の断面積かける流速となる。発生する流域の水量は流域面積かける浸透率の減衰量を差し引いた降雨量かける時間となる。浸透率は舗装などによってさらに減少し流量を増大させ,ダムの貯水は下流の流量を減少させる。

 堤防が溢れて洪水となる風景は自然風景ではない。自然を改造した人工の風景であり,人工の堤防の堤防を維持できなくなった災害の風景となっている。大雨による流路の激流までは許されても,災害は人々の悲嘆の現象を招いている。洪水の被害から,堤防を修復し,帯水した水をポンプで排水している。水田や家屋も修復されるのかもしれない。

 この莫大な損失の費用と建設の費用に,土地を利用してきた利益とは見合ったものなのか?あるいは,洪水を制御できる範囲に土地利用を留めることはできないのか?人為の未熟さが災害によって露呈されている。

 何度も各地に生じる災害に国土計画はどうなっているのかと不安が生じる。自然風景のある程度の回復によって,災害の生じない安全な状態を回復できないのか?自然開発の制限はできないのか?さらに大きな災害が生じないのか不安である。