2009-01-01から1年間の記事一覧

自己投影としての環境

はじめに 外界を知覚し、行動するのの、頭脳(高次神経系)が受容し、判断をし、行動する上で、神経の活動野は目と手が大きく、足の小さなを作り出しているとのことである。すなわち、行動と知覚の反映として、頭脳の中にある活動野があり、あたかも、人間の…

定住と漂泊

はじめに 旅に出て旅先にそのまま住んでしまうことがあるなら、何故、今住んでいる場所を離れるのであろう。住んでいる場所で生じる変化も変化という点では旅のようなものである。場所を移動し、時間を経過して、人は止まることはない。若い頃、育った家を出…

風景の形態

はじめに ユークリッド幾何学に接したのは、本格的には中学になってからであるが、長方形、三角形の面積の出し方などは小学校などでも教えられたのであろうか。算数が好きだったからか、その面白さに、難問の挑戦は楽しいものだった。それが古代に完成し、新…

戸内空間の構成 

はじめに 建築というより、住居にとって外部環境を遮断し、戸内空間を創りだすことが問題であるのだろう。シェルターとなる屋根、壁の外面に対して、内部空間は天井、壁、床によって構成されている。内部から外部に開閉を調節できる扉、窓がつけられる。内部…

風致施業の林齢と密度

はじめに 森林施業において輪伐期が問題となる。森林更新における林木の最高齢を決定し、その時点で木材を収穫するのである。それまでの間、樹高が高くなり、樹冠が大きくなり、幹が太くなる。樹高と幹の太さから一本当たりの大よその材積が算出され、ha当た…

環境共生

はじめに 建築は生活空間を構成する建物すべてが該当し、住宅に始まり、個人、民間、公共の様々な建物が存在している。自然環境に対しては人工物に含まれるが、それら建築で構成された居住環境、生産環境が自然と接した所に自然と人工の対比的な関係を見出す…

野菊の風景

はじめに 野菊は見たことも無いのに、名前だけ知っていた。野菊の墓の小説の題名であったからであろうか。庭の荒地に小菊が茂って疎らだが一面に覆ったことがある。もう、翌年にはその姿が失われてしまった。小菊の匂いが庭に立ち込めて、白や黄、赤みがかっ…

水面の風景

はじめに 水面の上下で呼吸ができるか、できなかが分かれる。小さなころ、二度溺れかけたことを覚えている。一度は沼地の池で、一度は海岸で深みに足を取られ、あるいは掬われて人知れず死ぬところであった。とっさに泳ぐことが思い浮かばなかった。泳ぐこと…

林学の教育目標

はじめに 大学、専門大学校、高校に林学科が存在していた。大学の林学は森林科学へと名称を変更し、高校でも緑地などの名称を関して変更することが多かったので、林学、林業の名称はどれだけ残っているのだろうか。しかし、専門大学校では林学の名前を持続し…

森林美学講義

はじめに 先日、北大の小池先生が信州にお見えになり、信州大学農学部で森林美学の特別講義をされた。感心して聞き入っていたのであるが、ビデオに撮っている様子だったので、メモも取らずにいた。森林風致研究所のメンバーも遠くから出かけて、合計で7人が…

森林風致計画の評価項目

はじめに 長野県林業大学校で清水さんの講義最終日の学生の発表に参加させていただいた。私もいくつかの森林で風致計画を作ったことがあるが、林大生の能力の高さと清水さんの教育の力量に感心した。4つのグループによる森林風致計画の発表が行われ、評価す…

行人橋

はじめに 以前よりこの橋の名前が気に入っている、中仙道の宿場の道を表わすのに、行人橋の名前は最も適しているように思うのは私だけだろうか。何の変哲も無い、木曽福島の町外れの木曽川にかかる橋の名前である。木曽川に接する町並みは川に背を向けており…

日常生活の目的と行動

はじめに 人間は目的を持って行動するが、行動と目的は逆転することがある。人は生きるために食わねばならないが、その食糧を得るために、働かなくてはならない。また、働くためには休息を取らなくてはならない。食べる目的と働く行動は連続しているが、働く…

感覚と時間

はじめに 未来に何が起こるか、過去に何があったかを感知する感覚、現在の状態を感知する感覚がある。視覚と聴覚は距離を隔てた事物を感じることによって、接近するものにいつ遭遇するかを、予測することができる感覚であろう。これに対して嗅覚における匂い…

ブドウ園の香り

はじめに ブドウ園のそばを通ると、甘い香りに包まれる。この一瞬のために農園の主人は丹精を込めて育成に取り組んだのだろう。しかし、この香りに浸ることもなく、働き続けてブドウの実を摘んで売りに出さなくてはならない。その実の色を眺め、味を味わうの…

風景の模型(15)塩尻市の立体地形図

はじめに 下西条みどりの会から塩尻市立体地形図完成の披露・祝賀会のご案内を頂いた。9月14日が都合が悪く、出席できないが、11月の下西条の文化祭で披露があるということなのでぜひ、行きたいと考えている。 この立体地形図は塩尻市の広域合併を契機に広が…

護られた樹木

はじめに 山にも百年の木が残っていることは稀有なことである。にも関わらず、神社には普通に百年を超える木がある。神社は木があるところに作られたのだろうか、それとも作られてから木が植えられたのであろうか。神社の来歴は古く遡ることが多く、また、起…

大気の感触 環境知覚の仮説

はじめに だいぶ寒くなってきた。大気の寒さを何か皮膚に当たる塊のように感じる。夏の熱気のこもった暖気に包まれる感覚とは少し違った感じなのではないだろうか。寒さに身を任せて大気を受け入れていると、いつのまにか、皮膚自体が冷たくなっていることに…

草地景観と森林

はじめに 市報に美ヶ原の野草のためのササ刈りボランティアの募集を見つけた。野草の美しい草原が森林化していくことは各地で問題となっている。それは、高原の草地が放牧や草刈場に利用されなくなり、火入れなどが行われなくなったためであることは明らかで…

日常生活批判と森林のゴミ問題

はじめに 日常生活は自分自身の個人的生活ということであるが、日常として普遍的に繰り返されていると感じられるのは、個人の状況自体が社会的、集団的な状況にあるからであり、個人の状況は社会的な状況に左右されているからである。個人生活の基盤に社会構…

カラマツの人工林と天然林

はじめに カラマツの人工林を見たのは北海道であった。火山の裾野に植栽されたカラマツの点在する若木は生育が悪いばかりでなく、枯死寸前でみすぼらしい状態であった。当時の館脇先生の講義で日本のカラマツは信州カラマツが一種で、拡大造林で早期育成樹種…

風景とイメージ

はじめに 風景の知覚によって風景はイメージとして認識され、記憶される。しかし、環境を知覚する中から風景として認識するのは、風景のイメージが予め意識されているからということである。知覚は主体と外界の交流過程の断面であり、主体における外界の意識…

風景の空間知覚

はじめに 視覚を表現するものが、絵画や写真であるが、それは、われわれの網膜に写る画像の視野の一瞬である。絵画や写真が平面であり、視野もまた平面である。視野、キャンバス、写真判は空間を写すフレームのようにも考えられるが、空間の断面を知覚してい…

人工緑化(建設)と自然回復(廃墟)

はじめに 人工の緑化とは廃墟の自然回復似ているところがある。人工と自然の拮抗関係によって 開発と自然破壊は逆の側面である。廃墟への愛好は西洋の庭園趣味の中に見られるが、日本でも芭蕉の俳句に「夏草やつわものどもの夢の跡」にもある。廃墟は人工も…

環境共存ー仮説の社会構造

はじめに 地球の環境が生み出した生物の進化を考えると、生物は環境の一部である。その生物の行う光合成活動によって、大気中に酸素が増えていったという。そこで、陸上における植物の繁殖は、同化した炭素による有機物を堆積させ、大気と土壌を植物生育する…

杜子春ー空想の社会構造

はじめに 今、松尾芭蕉か杜子春のことを書こうかと迷っている。今についてか、過去の思い出なのか、しかし、過去の思い出も今にとっての過去なのだ。今という現実と過去の意識の関係であって、今の存在は意識なしに持続している。持続するから、意識があるの…

森林風致と公園施業

はじめに フォン・ザリッシュの森林美学において庭園と公園、森林美の区別がどこにあるか、公園における森林は森林美学の範疇に入るのか、林業、林学の一環として成立させようとした森林の美的取り扱い、森林美学とは何かが問題であった。公園に適用される森…

ブドウ棚

はじめに ブドウ棚は和風の住宅には似合わないだろう。藤棚は洋風の住宅には似合わないだろう。藤棚には竹が使われるからであろうか。しかし、洋風住宅が増えているのに、ブドウ棚を見かけることは少ない。「一房のぶどう」という随筆?を中学生の頃、読んだ…

生活空間と大気

はじめに 地表が大気に覆われており、地表で生活する人間はその大気を呼吸し、風を感じて生きている。大阪から来た友人は信州の空気は違うという。大都市の人口集中によって高密な居住地となり、大気汚染も生じていることから、都会の生活空間の空気が、地方…

露岩と植生被覆

はじめに 地表は岩石を骨格として、植生で被覆され、植生は岩石の風化した土砂に植生が作り出す有機質の混合した土壌に根を伸ばして生育する。岩石が直接むき出した露岩はそれ故に見ることは少ない。その露岩の断面は岩と土壌と植生の断面構造である。露岩の…